■ 熊野の観光名所

 み熊野トップ>熊野の観光名所>田辺市

カスタム検索

◆ 伊作田稲荷神社(いさいだいなりじんじゃ)  和歌山県田辺市稲成町1124  伊作田村村:紀伊続風土記(現代語訳)


開扉の例無き古社

 昼なお暗いシイを主とする神社の森がおごそかな雰囲気を醸し出しています。
 古くは阿羅毘可大明神(あらびかだいみょうじん)と呼ばれました。古来開扉しないことが慣例となっている古社で、田辺藩の神社書上帳にも「開扉の例無之御神体知れ不申候」と書かれているそうです。

伊作田稲荷神社鳥居 伊作田稲荷神社参道

 神罰が下った事例が伝えられています。

 天正13年(1585年)の豊臣軍による紀伊攻めの後、田辺には杉若越後守がいてこの地方を治めていたが、朝鮮出兵のときに子息主殿守が船10艘に650人の兵を率いて出陣するに当たって、この稲荷神社に戦勝祈願することとなった。代参の黒坂某という者が神主に開扉を求めたが、神主は古来そうした例がないことを述べて断わった。黒坂は激怒し、無理に開かせようとしたが、たちどころに盲目になったという。

 また杉若越後守に代わって田辺に来た浅野左衛門佐は、神社の森の木を伐って大船を作ろうとした。神主や村人が黒坂の例を話して、伐採を中止するように申し入れたが聞き入れずに伐採し船の建造に取りかかった。船が完成し、進水して沖に出たところ、波風もないのにたちまち破損して沈没したという。慶長10年(1605年)のことである。

伊作田稲荷神社参道 伊作田稲荷神社拝殿

 この稲荷神社の森は南方熊楠がよく採集に出かけた場所で、年をとってからは娘の文枝(ふみえ)に言いつけて採集に行かせ、時には地図を描いて目的のものの生育場所を示したとか。『南方随筆』の「紀州俗伝」より。

 田辺の近所の稲成村の稲荷神社は、伏見の稲荷より由緒古く正しいものを、むかし証文を伏見より借り取られて威勢がその下になったと言う。今も神林鬱蒼たる大社だが、この神はなはだ馬を忌み、大正二年夏の大日照りにも鳥居前で二、三疋馬駆(うまかけ)すると、翌日たちまち少雨降り、その翌日より大いに降ったと言う。しかしながら老人に聞くと、以前はこの鳥居前に馬場あって例祭に馬駆したと言う。そうであれば馬場がなくなってから、神が馬嫌いになったものか。

伊作田稲荷神社境内

 鳥居近くの説明板より。

田辺市指定文化財(天然記念物)
 稲荷神社の森(昭和49年8月8日指定)

 この社叢の主要樹種はコジイで、全体の70〜80%を占めている典型的なコジイ林である。森林は樹高13〜15mの林冠をもち、コジイのほかにモッコク・タブノキ・ヒメユズリハ・モチノキ・ホルトノキなどの大木が混じっている。森林内にはタイミンタイバナ・サカキをはじめとする亞高木やセンリョウ・マンリョウをはじめとする林床植物が生育している。

 昭和初期には、さらに深い森林が残されていた模様で、南方熊楠宇井縫蔵らの調査記録によると、ムギラン・カヤラン・ヨウラクラン・フウランなどの着生植物が多数発見され、当時の植物研究者から注目されていた。これら着生植物は霧湿りするような深い森林内の樹幹に生育する植物であることから、かつての状況を推測することが出来る。現在は、周辺開発のためか、林内は乾燥して二次林的な様相を帯びているが、市内の他の神社に比べて、残存自然林の面積が大きいこと、森林全体が安定方向に回復していることなどから、将来が期待され厳重に保全されている。

田辺市教育委員会

 

 境内にある由緒書きより。

伊作田稲荷神社由緒古伝

祭神 天照皇大神(あまてらすおおみかみ) 保食神(うけもちのかみ)
   稚産霊神(わくむすびのかみ) 倉稲魂神(うがのみたまのかみ)

人皇第一代神武天皇生駒山の孔舎衛坂(くきえざか)より軍をかへし紀伊の国なる錦戸部土蜘蛛などの賊を征し給ふや伊作田の里人等馳せ参じて天皇の軍に加わり忠勤を励みて大功を樹てたり。やがて天皇紀伊より大和に入らせ給ひ八十梟師(やそたける)を誅し長髄彦(ながすねひこ)を平らげ給いて大和を平定し橿原の地に宮柱太敷立て給い皇紀元年正月元旦(陽暦3月11日)御即位の大典を挙げさせるや伊作田の里人でもこれを慶祝し忠勤の意を表し岩城山に皇祖天照大神を初め奉り稚産霊神、保食神、倉稲魂神を併せ厳かに斎き奉り阿羅毘可大明神(あらびかだいみょうじん)と称へ奉る。
里人等夜毎に仕へ奉り業務に精励す為に五穀豊穣、伊作田の稲成る里とぞ云い侍るなり。
人皇第四十三代元明天皇和銅四年二月二十一日(西暦72年)この日即ち初午なり山城国紀伊郡の伏見稲荷山三峯に倉稲魂神鎮座給いてより山の名を以て稲荷大明神と仰ぎ奉る。
この縁によりて 人皇第百七代正親町帝元亀年中(西暦1570〜1573)に伊作田阿羅毘可大明神の御名を伊作田稲荷大明神と改められる。

祭日

1月1日 歳旦祭    6月30日 大祓式
1月6日 前衣祭   12月7日 鎮火祭
1月7日 例大祭   11月25日 秋祭
1月15日 年神祭   12月30日 大祓式
2月11日 建国祭   毎月7日 月次祭
2月二ノ午 初午祭   11月1日 大神宮祭
3月春分 春祭     下村地主神祭
4月3日 雛祭   12月第1日曜 日吉祭 糸田
4月7日 児童入学奉 祭   12月 日 日吉祭 下村
5月5日 御田植祭  
天王祭
      1月15日 住吉(社)祭

 

 ◆ 参考文献

中沢新一 責任編集・解題『南方熊楠コレクション〈5〉森の思想』河出文庫
松居竜五・岩崎仁=編『南方熊楠の森』方丈堂出版
くまの文庫3『熊野中辺路 伝説(下)』熊野中辺路刊行会

 

お近くの宿


アクセス:JR紀伊田辺駅から車で約5分
駐車場:駐車場あり
地図Yahoo!地図

■田辺の観光スポット
闘鶏神社
南方熊楠邸
南方熊楠顕彰館
扇ヶ浜海水浴場
高山寺

■宿泊
田辺の宿泊施設
白浜の宿泊施設

田辺へのアクセス

 (てつ)

2010.6.14 UP
2010.6.15 更新

 

 

 

■熊野入門
熊野とは?
熊野三山とは?
熊野古道とは?
熊野詣とは?
熊野三山の主神
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」
熊野へのアクセス

amazonのおすすめ


み熊野トップ>熊野の観光名所>田辺市