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◆ 滝の拝(たきのはい)  和歌山県東牟婁郡古座川町小川  長洞尾村:紀伊続風土記(現代語訳)


落差8mの渓流瀑、無数の穴が穿たれた岩床

滝の拝

 古座川支流、小川(こがわ)にある落差8mの渓流瀑、「滝の拝」。
 無数の穴が穿たれた岩床に驚かされます。

滝の拝

 こういう穴をポットホールというのだそうです。
 河床のくぼみに入り込んだ石が水流に揉まれて回転して周囲を削って丸い穴を形成する。その後、川底が侵食の影響で下がり、ポットホールのできた場所が水面上に出てくる。

 『紀伊続風土記』の長洞尾村の条には「波伊の滝」として記載されています(口語訳てつ)。

波伊の滝
村の北14町にある。高さ1丈余り、滝壺の深さは5間ばかり。小川の川の流れである。

滝の拝

 滝の拝にまつわる民話をご紹介します。

 昔、滝の拝に、滝の拝太郎という侍が住んでいた。
 太郎は人々の目を楽しまそうと滝の周辺の岩床に毎日刀で穴を掘っていた。
 あとひとつで千個めの穴になるというときに刀を滝つぼに落としてしまった。
 太郎は刀を拾いに滝つぼにもぐったが、上がってこない。
 家人や近所の人々は、滝の主の食われたのだろうとあきらめて、七日の法事をしていたときに、太郎がひょっこり帰って来た。

 太郎の話によると、滝つぼの底に宮殿があり、そこに住む滝の主の姫が大勢の侍女とともに太郎を歓待してくれたという。
 太郎は夢中になって遊んでいたが、ふと家のことが気になり、落とした刀と丸い大きな石を土産にもらい、地上に帰ったのだという。

 このとき以降、それまで滝つぼで雷のようにゴロゴロと鳴っていた音が止んだそうだ。
 その石は今も滝の主を祀った金比羅神社の境内に置かれている。

金比羅神社

 その丸石が滝つぼで転がってゴロゴロ音を立てていたのですね。
 滝の主もやかましいと思っていたのでしょう。
 地上から人がやって来るのを待っていたのでしょうね。丸石を地上に持って行ってもらおうと思って。
 なにか、いいお話ですねえ。

滝の拝

 滝の拝の手前に橋がかかっていて、橋の上から滝を眺めることができます。

 ◆ 参考文献

和歌山県古座川町総合観光パンフレット
小坂橋淳『紀州の滝340』紀伊民報社
紀伊続風土記 』臨川書店

 

 

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2003.6.16 UP
2012.8.28 更新

 

 


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