み熊野ねっと

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神道と仏教のたぐいまれな融合

 

第5回熊野本宮盆踊り大会のために用意した原稿

2017年8月19日(日)に開催した第5回熊野本宮盆踊り大会のために準備した原稿です。熊野本宮大社旧社地大斎原にて開催。
盆踊り大会の休憩時間中に、10分ほど一遍上人や盆踊りについて話をさせていただきました。

熊野本宮盆踊り大会
 一遍上人神勅名号碑に玉串奉奠

こんばんは。熊野本宮盆踊り大会実行委員会のメンバーの大竹哲夫と申します。
本日はご参加ありがとうございます。お陰さまで第5回を迎えることができました。
これから10分ほどお時間をいただきまして、なぜここで、この熊野本宮大社旧社地で盆踊り大会を行うのか、についてお話させていただきます。みなさまは休憩しながら、ご自由に移動していただいてかまいませんので、お気軽に聞いていただけたらと思います。

そちらにある石碑は一遍上人神勅名号碑といいます。この石碑に彫られた文字、何と書かれているか、わかりますか。地元の方はみなさまご存知だと思いますが、南無阿弥陀仏と書かれています。一遍上人という鎌倉時代のお坊さんが熊野本宮に籠って、熊野本宮の神様から教えを授かって、ある種の悟りを開きました。今から740年ぐらい前のことです(1274年、744年前)。そのことを記念して昭和46年に建てられたのがこの石碑です。

一遍上人が熊野本宮の神様から教えを授かって始まったのが時宗という新しい仏教の一派です。時宗は全国をめぐりながら、南無阿弥陀仏と念仏を唱えながら踊る「踊念仏」を行って布教活動を行いました。その時宗の踊念仏が盆踊りの原型だといわれています。

神奈川県藤沢市には時宗の総本山の清浄光寺、別名遊行寺というお寺があります。そこが盆踊り発祥の地を名乗っています。時宗がなければ盆踊りは生まれなかったということです。その時宗も熊野本宮がなければ生まれませんでした

熊野本宮がなければ時宗はなく盆踊りもなかった、ということですので、そのような意味では、ここは盆踊りの発祥の地だと言うことができます。だから、ここで盆踊り大会を行っているのです。

熊野本宮盆踊り大会

ここは世界遺産です。熊野本宮大社も、この旧社地も世界遺産です。紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産になれたのはいくつかの登録基準を満たしたからですが、とりわけ評価されたのが「神道と仏教のたぐいまれな融合」です。それは「東アジアにおける宗教文化の交流と発展を示す」ものでした。

世界遺産とはユネスコ(国際連合教育科学文化機関)という国連の専門機関が行っている活動のひとつです。世界的に見て価値のあるものを人類共通の財産として守ろう、そして未来に伝えようというものです。

ユネスコの目的は、教育、科学、文化を通じて世界の平和と安全に貢献することです。そして、そのユネスコの活動である世界遺産も、その意義は当然、世界の平和と安全への貢献にあります。ですので、世界遺産登録の上でも文化の交流ということがとても重要な評価基準となります。

「神道と仏教のたぐいまれな融合」、神様と仏様を一体にしてお祀りする神仏習合という信仰の形は明治の神仏分離で徹底的に破壊されました。かつての神仏習合は、現在ではその痕跡をわずかに残す程度です。ですけれども、その神仏習合の歴史が「東アジアにおける宗教文化の交流と発展を示す」ものとして世界から高く評価されて世界遺産となりました。

この石碑もかつての熊野の神仏習合の歴史を今に伝える大切な遺産です。50年ほど前(47年前)というわりと最近に建てられたものですけれども、明治の神仏分離を経て、戦後になってここに南無阿弥陀仏と彫られた石碑が建てられた、そのこと自体が素晴らしいことだと思います。南無阿弥陀仏という言葉の意味は「阿弥陀如来に帰依します」ということです。神社の境内地に仏様に帰依しますという言葉が置かれている。明治から昭和の前半にかけての時代にはありえなかったことです。

本宮大社ではこの石碑の前で毎月23日、遍上人月例祭という祭事を執り行なっています。一遍上人の命日が8月23日で、月命日の毎月23日に、本宮大社の神職さんが一遍上人の遺徳を偲ぶ祭事を行なっています。

熊野本宮盆踊り大会

現在、本宮大社の宝物殿と世界遺産熊野本宮館では、時宗の総本山・清浄光寺の協力のもと「時宗と熊野」をテーマとした展示を行っています。神仏分離以前の熊野信仰を知ることができる貴重な展示です。まだご覧になられていない方はぜひご覧になってください。

9月30日には本宮館で、清浄光寺の宝物館の館長さんによる特別講演会が開かれます。9月最後の日曜日の午後1時半からです。ご都合が付きましたらぜひご参加ください。

熊野信仰は「神道と仏教のたぐいまれな融合」であり、また、いま行っている神社の境内地でもともと仏教行事である盆踊りを踊るということも、ある種の神道と仏教の融合と言うことができるかもしれません。

この後、神穣(しんじょう)ひろしさん、そして小芝陽子さんが素晴らしい歌を披露してくださいます。その後はまた総踊りを行います。総踊りが始まりましたら、ぜひみなさま、踊りの輪に加わって踊りを楽しんでください。とくに観光でお越しのお客様、ぜひご参加ください。世界遺産であり、また盆踊り発祥の地ともいえるこの場所で盆踊りを踊れる、またとない機会です。

これで私の話は終わります。ありがとうございました。

熊野本宮盆踊り大会

てつ

2018.9.19 UP

 







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