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坂本龍一・中沢新一『縄文聖地巡礼』木楽舎

坂本龍一さんと中沢新一さんの刺激的な対談集

 第3章が「奈良・紀伊田辺」。
 坂本龍一さんと中沢新一さんが口熊野、田辺と白浜を訪れています。
 田辺は熊楠の精神の中心地。南方熊楠ゆかりの場所をめぐります。
 訪れた場所は、田辺市の神島南方熊楠邸南方熊楠顕彰館高山寺闘鶏神社、白浜町の南方熊楠記念館歓喜神社、白浜美術館

 中沢新一さんにとっても坂本龍一さんにとっても南方熊楠が大きな存在であり続けているというのは、とても嬉しいことです。

坂本さんのアルバム『音楽図鑑』(1984年)の背後にあるのは、あきらかに南方熊楠の存在だったし、ぼく自身は『森のバロック』(1992年)という本を書いて熊楠の心の世界を解き明かそうとしましたが、熊楠については繰り返し何度でも考える必要があると思っています。(84頁)

 熊野に暮らし熊楠を敬愛する者にとって勇気づけられる言葉がお二人の口から発せられます。

「未来に向かっての縄文文化」を考えるときのひとつのモデルが、南方熊楠。

自分の住む町や自宅に貴重なものが潜んでいるという熊楠のメッセージ。

超近代的な科学と超古代的な感覚とが合体、接合部分のザラザラをそのまま出す。熊楠のやり方。

「異質なものの共生自体が文化である」という考え方が古代にはあった。

熊楠と昭和天皇の神島での出会いは、日本の歴史のなかでもすぐれて美しい光景。紀州の地霊と天皇の出会い。異質なものの共生。

1個1個の神々が同格で並び立っている世界。

熊楠の世界に、まだわれわれは追いついていない。

田辺の二大地霊、南方熊楠と植芝盛平。

人間のことだけを考えていてもダメだ。

熊楠の思想を現代に生かすためには、その思想に組織を与えないといけない。

 刺激的な対談集。おもしろいです。

(てつ)

2010.8.5 UP
2021.5.14 更新

中沢新一さんの著作