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◆ 中上紀『熊野物語』徳間書店


レビュアー:てつ

 熊野の伝承をもとに書かれた17編の短編小説集。

1. 浮島の森
 浮島の森で大蛇に巻かれて底無し沼に引き込まれてしまう少女。浮島の森に伝わる伝承と、その伝承をもとに書かれた上田秋成の怪異小説の傑作「蛇性の淫」をもとに。

2. 千人目の妃
 999人の后のうちのひとりの視点から語られる「熊野の本地」。

3. 巡礼
 ひとりの女が、さる山の頂上近くにある神社を目指す。その途中ですれ違うのは和泉式部の一行か。

4. 常世の里
 徐福の墓が近くにある熊野のとある町に引っ越して来たばかりの小学生の女の子の冒険。

5. 渡海
 補陀落渡海を志す行者と水の女神。

6. 釣鐘
 安珍と清姫の物語。こわいです。

7. 餓鬼阿弥
 熊野の聖なる湯、湯の峰の温泉へ。「小栗判官」をもとにしたお話。

8. 異民族
 鬼ケ城などの鬼伝説をもとに。

9. 髪長の恋
 道成寺に伝わる髪長姫、藤原宮子伝説をもとに。

10. 守護神
 紀伊大島の島民によるエルトゥールル号遭難者救助をもとにしたお話。

11. ヤタガラス
 ヤタガラスに導かれた男のお話。「熊野権現垂迹縁起」をもとに。

12. 海女の櫛
 ニシキトベのお話。

13. 紫の宇宙
 夢のなか、那智の山中で南方熊楠に出会う少年。

14. 女人高野
 高野山苅萱堂、石童丸のお話をもとに。

15. 花の舞 炎の海
 花の窟お綱掛け神事の舞姫のお話。

16. 赤い龍と神さんの山
 神倉山お燈まつりのお話。

17. 海神山神
 熊野水軍のお話。

 本を紹介したチラシには「読んでから行くか、行ってから読むか」とありましたが、あまり熊野のことを御存知でない方は、「読んでから行く」ほうがよいように思います。
 熊野という場所はある程度の知識を持って行ったほうが、より感動が深まる場所だと私は思っています。

 熊野信仰が中世に盛んになったのも、物語の力というのがひじょうに大きかったものと思われます。ぜひ読んでからお越しくださいませ。

(てつ)

2011.1.7 UP

熊野物語
熊野物語

中上紀さんの著作

 

 


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