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◆ 古典に見る熊野新宮参拝の模様


 古典に見る熊野新宮参拝の模様。

後白河上皇梁塵秘抄口伝集』より

 応保2年正月21日より精進を始めて、同27日に発つ。
 2月9日、本宮に幣を奉る。本宮・新宮・那智の三山に三日ずつ籠って、その間、千手経を千巻(1000回)転読してたてまつった。
 同月12日、新宮に参って、幣を奉る。その次第はいつもの通りである。夜が更けてからまた社殿の前へ上って、宮廻ののち礼殿で通夜、千手経を読んでたてまつる。しばらくは人がいたけれど、片隅で眠るなどして、前には人も見えない。通家が経を巻きもどす役をしていたのだが、居眠りしている。

 次々に奉幣なども終わり静まって、そろそろ夜半を過ぎただろうかと思われたころ、神殿のほうを見やると、わずかの火の光に御神体の鏡がところどころ輝いて見える。しみじみと心が澄んで、涙も止まらず、泣きながら千手経を読んでいたところ、資賢が通夜を終えて、明け方に礼殿に参りに来た。
 「今様が欲しいものだ。今ならきっと趣が出るよ」
 と、私は資賢に勧めたが畏まっているばかり。仕方なく、私みずから歌いだす。

よろづのほとけの願よりも
千手の誓ひぞ頼もしき
枯れたる草木もたちまちに
花さき実なると説いたまふ

 繰り返し繰り返し、何度も歌う。資賢・通家が和して歌う。心澄ましてあったせいだろうか、いつもよりもすばらしく趣深かった。
 覚讃法印が宮廻りを終えて、社殿の前にある松の木の下で通夜をしていたが、その松の木の上で、
 「心とけたる只今かな(いま、私の心はくつろいでいるよ)
 と、神の歌う声がしたので、夢うつつともなく聞いて、びっくりして、慌てて礼殿に報告しに来た。
 一心に心を澄ましていると、このような不思議なこともあるのだろうか。夜が開けるまで歌い明かした。これが2回目である。

 

 古典に見る熊野新宮参拝の模様

 古典に見る熊野那智参拝の模様

(てつ)

2009.8.6 UP

◆ 参考文献

新潮日本古典集成『梁塵秘抄』新潮社

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