■ 熊野の説話

 み熊野トップ>熊野の説話

◆ 新宮のもののけ姫、丹鶴姫


丹鶴姫之碑 新宮に伝わるもののけ姫、丹鶴姫(たんかくひめ)の伝説。新宮市の熊野川河口付近にある丹鶴城趾には、日暮れになるともののけの姫が出るという伝説があります。

 新宮出身の作家、佐藤春夫の著作「わが生い立ち」より引用。

 丹鶴城主の姫君の丹鶴姫は子供が好きださうで、 夕方、 子供がひとりでそのあたりを通つてゐると、 緋の袴の姿で丘の上へ現れて来て扇で子供をまねく。 招かれた子供は次の日の朝になると死んでゐるといふのである。 その丹鶴姫の使いが黒い兎で、 子供の通る道の前をひよいと横切ることがある。 やつぱりそれを見た子供は死ななけりやならないともいふ。 黒い兎なら暗がりのなかでは見えないかも知れない。自分の見ないつもりのうちに、 もしや黒い兎をみたのぢやないだらうか 私はそんな空想に怯えたこともあつた。 丹鶴姫といふのはどんな人だか知らないが、 城山の向ふの丘には一つの小さな社があつて、 そこを皆が丹鶴姫の祠だと言つてゐる。……

 詳しくはこちら

(てつ)

2006.8.21 UP

 ◆ 引用文献

『定本 佐藤春夫全集 第5巻(創作3)』臨川書店(引用箇所は93頁)

 

 

amazonのおすすめ


み熊野トップ>熊野の説話