白良の浜(しららのはま)。
現・和歌山県西牟婁郡白浜町の白良浜(しららはま)。
その名の通り、白砂の美しい砂浜。遠浅の海で、夏には多くの海水浴客で賑わいます。関西屈指のリゾートビーチです。日本の渚百選のひとつ。
・『山家集』:西行法師の私家集から2首
1.内裏で催された貝合(左右に分かれ、貝の優劣を歌を添えて競う遊び)のために女房に代わって作った歌のひとつ。
波寄する白良の浜の烏貝(からすがひ) 拾ひやすくも思ほゆるかな
(『山家集』下 雑 1196)
波が寄せる白良浜の烏貝は拾いやすく思われることよ。
白良浜はその名の通り白砂の浜。
烏貝は色が黒く形の大きな淡水性の二枚貝。
2.「月十首」のひとつ。
はなれたる白良の浜の沖の石をくだかで洗ふ月の白波
(『山家集』下 雑(百首) 1476)
遠く離れた白良の浜の沖の石を砕くことなく洗うのは、月の光に輝く白波であることだ。
・『再昌草(さいしょうそう)』:三条西実隆の日次詠草集から1首
二十七日、内裏にて題を探りて三十首つかうまつりし、浜砂
真砂には月もしらゝの浜風に霞(かすみ)の空も春を忘れて
(大永四年 25)
2月27日、歌題を記載した短冊を引いて歌を詠んだ30首のうちの、「浜砂」という歌題を引いたときに詠んだ歌。
白良浜の白い真砂に月もしらじらと照り、浜風に霞も消えて、春であることを忘れるほどだ。
「しらゝ」に「白良」と「白らか」とを掛ける。
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(てつ)
2003.5.13 UP
◆ 参考文献
新潮日本古典集成49『山家集』新潮社
新日本古典文学大系47『中世和歌集 室町篇』岩波書店
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