熊野比丘尼(くまのびくに)
熊野比丘尼とは、熊野三山に属した有髪の女性宗教者です。
熊野比丘尼が活動したのは戦国時代の頃から江戸時代にかけて。荘園を失い、参詣者も減り、経済基盤が揺るぎだした熊野三山の運営資金を集めるために熊野比丘尼は諸国を巡り歩きました。
熊野比丘尼は、毎年年末から正月にかけて熊野に年籠りし、伊勢に詣でたあと、諸国を巡り、熊野信仰を布教し、熊野牛玉宝印や梛の葉を配って、熊野三山への喜捨を集めました。
熊野三山のために勧進(かんじん。社殿などの造営修復のために寄付を求めて歩くこと)したので勧進比丘尼とも呼ばれ、「熊野勧心十界曼陀羅」などの「熊野の絵」を持ち歩き、その絵解きをして熊野権現の慈悲を説いたので絵解き比丘尼とも呼ばれ、また、ささら(竹を細かく割って束ねて作った楽器)を摺りながら歌念仏や流行唄をうたって人々を引き付けもしたので歌比丘尼とも呼ばれました。
(てつ)
2008.3.22 UP
参考文献
- 根井浄・山本殖生 編著『熊野比丘尼を絵解く』法蔵館