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◆ 隆慶一郎『吉原御免状』新潮文庫


レビュアー:儀平の饅頭食い隊(2005.10.19 UP)

中世の自由民、傀儡子(くぐつし)やサンカの最後の砦が吉原という設定は、実はワタクシ、ちょいと引っかかりました。
悪い意味の引っかかりじゃなく、「う〜ん。やっぱり。」という感じの。吉原の言葉、おいらん言葉とか里言葉とか言われるのって、なんとなく熊野地方の言葉に似ているんです。以前映画の「写楽」(真田広幸主演・フランキー堺プロデュース)で真田さんの喋っていた言葉。特に語尾。なんか懐かしかったです。
熊野比丘尼というのは、時代が下るにつれ、身を落としていきますね。吉原と熊野、それと中世の自由民。なんだかいろいろ広がりが見えてきました。


レビュアー:てつ(2003.1.30 UP)

 徳川家康より与えられた「神君御免状」をめぐる江戸の御免色里・吉原と裏柳生の暗闘を描く時代小説。主人公は、育ての親・宮本武蔵の遺言に従って吉原に赴いた天才剣士・松永誠一郎。
 この物語には熊野比丘尼の総帥「おばばさま」が登場します(初登場場面は246ページ)。「おばばさま」は世に八百比丘尼と呼ばれる伝説の尼僧で、何百年もの記憶をもち、人に思いのままの夢を見させる力をもつ特殊な能力者。

 この小説により僕の吉原のイメージは一変してしまいました。吉原は中世自由民の末裔の最後の砦。吉原成立の秘話にはぐっときます。
 『一夢庵風流記』『影武者徳川家康』『捨て童子・松平忠輝』『花と火の帝』などで知られる隆慶一郎(りゅう・けいいちろう)のデビュー作。隆慶一郎さんの時代小説はどれもが胸が熱くなります。

隆慶一郎さんの著作

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一夢庵風流記
 
天下のかぶき者、前田慶次郎の爽やかで痛快な生き様。
影武者徳川家康
 
家康の影武者世良田二郎三郎は”道々の輩”のユートピアを築こうとした。
捨て童子・松平忠輝
 
家康の第六子、松平忠輝の波乱の生涯。
花と火の帝
 
後水尾天皇は自由を求めて徳川幕府との戦いを決意する。

 

 

 


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