新宮は熊野三山のひとつ、熊野速玉大社のこと。熊野川の河口付近に鎮座しています。
詞書まで含めて「新宮」が登場する歌をご紹介します(歌の本文に「新宮」が登場するものはまだ見つけていません)。
・『新古今和歌集』より1首。
1.後鳥羽上皇の歌。
新宮に詣づとて、熊野河にて/太上天皇
熊野河くだす早瀬のみなれざほ(お)さすがみなれぬ波のかよひ路(ぢ)
(巻第十九 雑歌中 1908)
熊野川を下す船が早瀬にさす水馴棹(みなれざお)は水に慣れているが、水に慣れていない私にはやはり見慣れない波の通い路であることよ。
「さす」は「棹」の縁語。「みなれ」は「水馴れ」と「見馴れ」の掛言葉。
後鳥羽上皇の歌。隠岐での除棄歌。
・『玉葉和歌集』より1首。
1.中原師光朝臣の歌。
熊野新宮にてよみ侍ける/中原師光朝臣
あまくたる神やねかひをみつしほの湊にちかきちきのかたそき
天降る神が願いをみつしほの(?)港に近い千木(ちぎ)のかたそぎ。
(巻第二十 神祇歌 2791・新2777)
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(てつ)
2004.9.30 UP
◆ 参考文献
新日本古典文学大系11『新古今和歌集』岩波書店
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