ユネスコ無形文化遺産、明治の神仏分離で廃絶するも50年を経て復興
毎年7月14日に行われる熊野那智大社の例大祭「扇祭(おうぎまつり)」で奉納される「那智の田楽」。
午前11時30分頃から熊野那智大社の本殿前の仮設舞台にて行われます。
那智の田楽は那智山の社僧が行う仏教芸能でしたので、明治時代の神仏分離により廃絶。50年を経た後に、かつて那智山の社僧であった人物の指導により、1921年(大正10年)に復興を果たしました。
その後、那智の田楽は1976年(昭和51年)に国の重要無形民俗文化財に指定され、2012年(平成24年)12月にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
国の重要無形民俗文化財となり、世界の無形文化遺産となるほどの価値のあるものがあやうく失われるところであったことに愕然とします。明治時代というのは熊野にとっては大変厳しい辛い時代でした。
ユネスコの有形の文化遺産である熊野那智大社と、ユネスコの無形文化遺産である那智の田楽。
熊野那智大社の扇祭では、ユネスコの有形・無形の文化遺産を同時に見ることができます!
熊野那智大社例大祭「扇祭」 のスケジュール
午前10時:御本社大前の儀 午前11時:大和舞(稚児舞) 午前11時30分:那智田楽 午後0時15分:御田植式 午後1時:扇神輿渡御祭 |
(御本社にて) |
午後1時30分:伏拝み扇立神事 | (伏拝にて) |
午後1時50分:一・二・三の使発進 午後1時57分:光ヶ峰遥拝神事 午後2時:御滝本神事(御火行事) 午後2時17分:扇褒め神事 午後2時25分:御滝本大前の儀 午後2時50分:田刈式 午後2時55分:那瀑舞 午後3時:扇神輿還御 |
(御滝本にて) |
午後3時30分:扇神輿還御祭 | (御本社にて) |
※扇祭(那智の火祭り)について詳しくは那智勝浦町公式サイトなどをご覧ください。地元の方のこちらのページも。
那智の火祭り(2010)|那智の火祭り(2007)|那智の火祭り(2005)|那智の火祭り(2004)|那智の火祭り(2002)
宵宮祭での奉納
前日の宵宮祭でも那智の田楽は奉納されます。
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— てつ@み熊野ねっと (@mikumano) July 13, 2016
那智の田楽復興100年 ライブ配信
2021年(令和3年)に那智の田楽は復興100年の節目を迎えました。この年も前年に続いてコロナ禍で那智の扇祭りは一般の参列を受け入れず関係者のみで規模を縮小して斎行されましたが、那智の田楽は宵宮祭で奉納が行われ、熊野那智大社公式YouTubeチャンネルでライブ配信されました。アーカイブ動画が残されていますので、ぜひご覧ください。
この年は大和舞や巫女舞の奉納が行われなかったため、通常の年よりは早い時間帯に行われました。
(てつ)
2013.7.10 UP
2021.7.12 更新
2021.7.13 更新
参考文献
- 加藤隆久 編『熊野三山信仰事典』戎光祥出版
熊野那智大社へ
アクセス:JR紀伊勝浦駅から熊野交通バス神社お寺前駐車場行きで約30分、終点下車、徒歩10分。滝前バス停、神社お寺前バス停で降りてもよいです。
熊野古道大門坂を歩きたい方は大門坂駐車場前バス停で下車、徒歩約1時間。
駐車場:有料駐車場あり(場所により無料)