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◆ 滝尻磐座群(たきじりいわくらぐん)  和歌山県田辺市中辺路町栗栖川  芝村(栗栖川荘):紀伊続風土記(現代語訳)


滝尻王子上の善生土

滝尻磐座群

 滝尻王子の社殿横の山には磐座がいくつかあり、それらの磐座群が滝尻の上の山上を特別な場所としていたようです。

 鎌倉初期の成立と推定される、修験道の根本霊場である吉野・大峯・熊野などの縁起由緒を記した『諸山縁起』には「滝尻之上御前常行地、云善生土也、諸仏共此山住山人、不知歳久常麁乱神遊、余之恠不在、毎月一度之供返善生歟云」と記されています。

 滝尻の上は神仏が常に修行している地で、善生土といわれ、諸仏とともにこの山には修行者が住まう。悪さをする熊野の地主神・麁乱神も久しくこの山には現われず、その他のあやかしもいない。毎月一度供物を供えれば善生を得るという。

滝尻磐座群

滝尻磐座群

 滝尻王子は江戸時代には瀧尻五体王子社と呼ばれ、『紀伊続風土記』の芝村の項には以下のように記されています(私による現代語訳)。

○瀧尻五体王子社  境内山周百六十間
村より十二町栗栖川の東、滝尻にある。『御幸記』に見える。この地は流れの速い瀬で川の水が石に触れて激流する。当社はその側にある。よって滝尻という。社辺に宝篋印塔があって三、四百年前の物と見えるが、石が損じて銘は読みがたい。境内の山上を剣山という。半腹に岩穴がある。深さ三間、横二間ばかり。
伝えいうことに、古、奥州の秀衡が妻を携えて熊野に参詣した。その妻は臨月であった。この地に至って産気づいた。人家がないのでこの岩穴の内に入って三郎を産む。そのとき立願して安産を得た。よって七堂伽藍を造営して諸経並びに武具などをその堂中に納めたという。よってその堂を秀衡堂と号する。天正の兵乱で破壊し旧記も紛失して今は堂舎の跡はない。
岩穴の少し上に胎内くぐりという岩穴がある。深さ四間ほど。入り口は四尺ばかり、出口は三尺ばかりの穴である。毎年二月彼岸の中日には近隣より諸人が王子に詣でてこの穴を潜るという。神宝に小太刀(長さ九寸)矢根鈴の三品がある。秀衡の奉納した物という。三種とも古色がある(今、社司がいないので村の中の歓喜寺に納める)。熊野古道が廃してから当社は参詣の人も稀で大いに衰微した。

 この記事からも、滝尻において真に重要なのは社殿横の山上なのだということが伝わります。

滝尻磐座群

滝尻磐座群

滝尻磐座群

 現在、この岩屋が「胎内くぐり」と呼ばれます。

滝尻磐座群

 現在、この岩屋が「乳岩(ちちいわ)」と呼ばれます。

 これらの磐座群の中を熊野本宮へ向かう熊野古道が通っています。

 ◆ 参考文献

宮家準『熊野修験』 (日本歴史叢書48)吉川弘文堂
『紀伊続風土記』臨川書店

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駐車場:熊野古道館の駐車場を利用(無料、80台)
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中辺路町企画かんこう課 tel:0739-64-0500

熊野古道館:石船川をはさんで滝尻王子の向かいにある休憩所
 tel:0739-64-1470
 開館時間:AM9:00 〜PM5:00
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