落差105mの段瀑
熊野川町瀧本(たきもと)にある落差105mの2段の滝。
瀧本は「那智の四十八滝、瀧本の四十七滝」といわれるほどに滝の多い所ですが、「瀧のもと」というその地名のもととなった滝がこの「宝竜滝」です。
一ノ滝が落差51m。一ノ滝の上にある二ノ滝が落差54m。熊野を代表する名瀑のひとつです。
国道168号から県道44号「那智勝浦熊野川線」に入り、瀧本まで。
小口(こぐち)を過ぎてからの瀧本までの車で30分ほどの道中は熊野の山深さをあらためて実感させてくれます(道幅が狭いので、対向車には十分気を付けて走行してください)。
小学校(休校中)を過ぎ、少し行った所の左手に「宝竜滝」の看板の立つ林道の入り口があり、林道に入って間もなく正面に2段の滝が見えてきます。
さらに数分、車を走らせると、林道終点に到着。終点の駐車スペースに車を停めます。
そこから徒歩5分ほどで宝竜滝一ノ滝にたどり着きます。
高巻きして二ノ滝まで行けるようです。
『紀伊続風土記』の瀧本村の項には「大滝」とあり、以下のように記されています(現代語訳てつ)。
○大滝
村から巽(※東南※)から12〜3町にある。小口川の南の渓の源で、その水は色川郷の雲取峰より出て、藤綱要害の下流にある。源は遠く水が多い。よって大滝の名がある。上下2段となり、上段は高さ38間、下段は高さ34間。相重なって懸け注ぎ崩れ注ぐ。その勢いは最も雄壮である。下の深淵に落ちて地軸を動揺し、ほとばしり飛沫や霧となる。那智山の一の滝には譲るが、その他の滝はみなこの滝には敵わないであろう。この滝は僻遠にあるので、熊野中の人でも知る者は少ない。滝に神があるならば屈辱を訴えるであろうと思われる。
(てつ)
2003.10.6 UP
2019.7.13 更新
参考文献
- 小坂橋淳『紀州の滝340』紀伊民報社