明恵上人が見た熊野に詣でようと出発する夢
明恵上人(みょうえしょうにん:鎌倉時代前期の華厳宗の名僧、1173~1232)の夢日記『夢記(ゆめのき)』より現代語訳。
同日の夜、夢に見たのは、
清く澄んだ大きな池がある。私は大きな馬に乗ってこの中を遊戯する。馬は普通に飼うことができる馬である。また、今まさに熊野に詣でようと出発する。云々。考えるに、これの前の2~3日前の夜、夢で、私は戯れて「熊野に参りたいものだ」と言い、それを真証房が聞き「不実にそのようなことを言う」といさめた。そこで、私は「私はこのようにはならない」と言って誓願を立てた。
いま同日の夜の夢を解釈すると、つまり、戯れでなくほんとうに熊野に詣でようとしているのは吉相である。また、大きな池は禅観であって、馬は意識である。このことを思うべきである。
(てつ)
2009.8.16 UP
参考文献
- 河合隼雄『明恵 夢を生きる』 講談社+α文庫 (この夢のことが書かれているのは41頁、現代語訳はてつ)
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