冬青々夏枯れ草を取りに行く
熊野市波田須町(はだす)に伝わる西行伝説。
昔、西行が波田須に来たときのこと。波田須の入口で子供に出会ったので、西行はどこへ行くのか子供に尋ねた。「冬青々夏枯れ草を取りに行く」と子供は答えた。西行は何を言っているのかわからず、子供でさえこのような難しいことを言うのだから、大人だったらもっとすごいことを言う人がたくさんいるのだろうと驚いて、高野山(または伊勢)へ帰って行った。ちょうどその場所に松があり、その松を「西行の戻り松」というようになった。
冬青々夏枯れ草とは麦のこと。
「波田須通れば名所がござる西行法師のかえり松」と歌われたその松も今はない。
(てつ)
2008.12.20 UP
2022.7.17 更新
参考文献
- みえ熊野の歴史と文化シリーズ1『熊野道中記 いにしえの旅人たちの記録』みえ熊野学研究会編