ツバキの木槌は化ける
南方熊楠の『十二支考 』「鶏に関する伝説」より。
山茶(つばき)の木の槌は化ける、また家に置けば病人絶えずとて熊野に今も忌む所あり、拙妻の
麁族 請川 の須川甚助てふ豪家、昔八棟造りを建つるに、烟出 しの広さ八畳敷、これに和布 、ヒジキ、乾魚 などを貯え、凶歳に村民を救うた。その大厦 の天井裏で毎夜踊り廻る者あり。大工が天井張った時山茶の木の槌を忘れ遺 せしが化けたという。
熊野山中に棲んだ妖怪一本ダタラも、ツバキの木で作った木槌を使いました。
また那智の観音本像はツバキの木で作ると伝えられます。
(てつ)
2009.8.16 UP
参考文献
- 南方熊楠『十二支考〈下〉』 岩波文庫