平安初期の勧請と伝わる熊野神社
(旧吾妻郡門貝村字鳴尾)
JR吾妻線万座・鹿沢口駅より、国道144号線の栄橋を渡り、標識に従い万座川に沿って約5km(徒歩1時間程度)、高架のくまの橋が望まれたらまもなく到着する。
万座川をさかのぼり、門貝を経由する「毛無道」は上州と信州方面をつなぐ道として重要であった。
門貝はその上州側の拠点的集落としての
機能を果たしていたものとみられる。
加えて、吾妻山(四阿山)や白根山など霊地を控えていた。
そこに、山伏の修業の拠点が設置され、やがて、熊野神社が分祀されたのだろう。
神社の背後の岩窟遺構や入口の巨石に刻まれた梵字は、その隆盛を物語っている。
熊野神社境内にある「鳴尾の熊野神社大スギ」は口碑によれば弘法大師がこの地を訪れた際、使用していた杖をさしたところ根が生え、逆さに育ったと言う伝説をもつ樹齢1100余年の巨木。
根回り約9m、高さ約36mあり、群馬県の天然記念物に指定されている。
林道沿いに石灯籠があり、その先の赤い鳥居をくぐり石段を登ると社務所ある。
さらに石段を50段ほど登ったところに社殿が建つ。
境内には石祠が2社祀られている。資料によれば秋葉社と琴平社らしい。
(嬬恋村誌)
遠景
御祭神
伊弉諾尊
事解男命
速玉男命
御由緒
不詳
口碑によれば創建は大同元年(806)の事といわれている。
(御祭神は「上野国神社明細帳」より参照)
(門貝の歴史及び熊野神社の由緒等は嬬恋村郷土資料館・館長の松島榮治先生の講演録より参照)
(TATSUさん)
No.1509
2011.10.5 UP
2021.5.20 更新
参考文献
- 『嬬恋村誌』
- 『上野国神社明細帳』