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室根神社:岩手県一関市室根町折壁字室根山2

千葉さんからご投稿いただきました。ありがとうございます。

平成17年度 国重要無形民俗文化財・室根神社大祭


室根神社大祭 御仮宮に向かう本宮・新宮両御神輿

(旧東磐井郡室根村折壁字室根山2)

大祭の土曜、日曜の天気図は東北地方広範囲にわたる雨雲に見舞われました。
日曜日、クライマックスの本宮、新宮両みこし先着争いの時は
稲妻を伴う雷雨に見舞われ最悪の状態でした。
みこしを担ぐ陸尺(ろくしゃく)は全身ずぶぬれ、泥だらけ、
当日は岩手富士と言われる「岩手山も初冠雪」寒さのため震えている方が大勢おりました。
祭りに関わる関係者も同様でした。

過疎化、高齢化社会、宗教心の薄れなどから、肝心の勅使「大先司」が欠場。

本来、熊野分霊をこの地に移した勅使の再現がこの祭りなのに、その役が出ないなんて。
巷の声「そのため天罰雷雨になったのでは?」・・・
気にしないで見ているぶんには、悪天候が興奮を与え、

すさまじい祭り「荒祭り」になりました。


保存会が結成され、復活した荒馬先陣


雨の祭り場は泥だらけ。大名行列「やっこ」もはだしで・・この通り


袰(ほろ)祭りの華やかな装飾


熊野本宮大社のある和歌山県の本宮町からも行事に参加された方々がありました


雨の中、本宮・新宮両御神輿が先着を争う祭り場のお仮宮

分霊を迎えたとき、郷民が荒馬17頭で警護にあたった荒馬先陣も今回は地元で保存会を結成し参加となりました(前回は欠場)。

世襲制で行われてきた祭りも、今回の大先司と同様な理由から時代の変遷により世襲から保存会に切り替わってくるのかな?と感じております。

昨年、勧請に携わった鈴木家の末裔の方の「時を流れて」と題した講演を開催しましたが、家庭の事情から祖父母の時代に本宮大先司の役職を譲渡した内容でした。
この時からすでに、祭りに関わる紀州藤代の国鈴木家の血筋は切れてしまったのです。
次回、再来年の開催までに、文化財指定本来の姿を再現できるような努力が不可欠かと思われます。

(千葉さん)

No.170

(そまによる追記)

奥州3大荒祭りのひとつ、1280年の伝統ある室根大祭。

祭りの保存継承へ尽力されている方々も大勢いらっしゃることと思いますが、世襲制でお祭りの役割を担っておられる方々への負担も人によってはかなりのものだと聞いています。
「岩手日報」の記事で室根村村長さんは「費用があまり掛からない仕組みを考えたい」と答えていらっしゃいました。

「祭り」というのは単に「宗教」という枠だけでくくるものではなく、伝統ある行事を守り伝えてゆく事によって地域の価値を再認識させたり、地域の人々の結びつきを深め、郷土愛を深めたり、地域を活性化させる様々な大切な役割があるのだということを、私は以前おうかがいした室根大祭を拝見していて再認識することができました。
今後もこの素晴らしき室根大祭が保存継承されてゆきます様、願わずにはいられません。

2005.11.5 UP
2020.5.26 更新

参考文献



岩手県一関市室根町折壁

読み方:いわてけん いちのせきし むろねちょう おりかべ

郵便番号:〒029-1201

一関市HP

一関市 - Wikipedia
一関市(いちのせきし)は、岩手県の最南端に位置する市。