『紀伊続風土記』から気になる場所をピックアップ
今あるのかないか
- 尾山明神社 秋葉社
2社社地周1町20間、田川谷にある。社然に押分岩という奇巌がある。高さ2間余り、長さ6間ばかり。両断してその間1間ばかり開いて社前への道とする。境村 - 不動巌
田川谷の民の家がある所の艮(※東北※)3町ばかりにある。巌腹が洞をなし、口は狭いが、少し行けば中はやや広く前面巌の隙間から日光が漏れ入って明るい。内に不動の木像を安置したゆえ不動巌という。今その不動を村の中の不動堂に移す。境村 - 小祠8社
若一王子社 社地周2町45間。村の中にある。拝殿あり。
山神森 社地周70間。内之浦にある。
田中御神森 社地周10間。村の中にある。田中にある。3樹を祀って社はない。大木は今は朽ちてしまった。
梵天社 社地周28間。小名跡の浦にある。村の中の東光寺の鎮守という。拝殿がある。
若宮 社地周120間。小名鳥ノ巣にある。末社に神島明神社、中ノ御前社がある。また拝殿がある。
四大天王社 社地周1町4間。村の乾(※北西※)2町にある。社地に22間四方の田地がある。御供及び修理料とする。
河内神森 社地周45間。村の丑の方(※北東微北※)2町余りにある。社はない。松の大樹を神体とする。拝殿はある。
山田御神森 社地周3町45間。本村の中、小名北原にあって社はない。大木を神体とする。この木に霊があって斧を触れれば祟りをなす。ゆえに神と崇める。拝殿はある。新庄村 - 立岩明神森
境内山周17間。小名左向谷にある。大岩を神とし祀る。祭礼は11月15日。上秋津村 - 大楠
小名洞のうちの於陵地(おりょうち)という所にある。大きさ10抱え、根本より3間ほど上で二股となり両股の間に数人を座らせることができる。1000年 を経たものと見える。その辺りにまた楠の大樹が2本ある。小堂が1宇あって地蔵薬師を祭る。堂前に舞堂がある。7月に村民が相集って踊りをする所という。秋津川村 - 狐白(こしろ)明神社
境内山周164間。小名田中代という所にある。祭神は詳らかでない。下万呂村の天王社の神主が支配する。中万呂村 - 巌屋観音堂
境内山周130間。村の巽(※東南※)、3町ばかり登った所に岩穴がある。高さ7間半、横13間、深さ4間)、斜なる岩の上に掛け作りの堂を作り巌石をもって牆屋に当てる。古は巌山普門寺といったとのこと。堂は5間に3間である。 下三栖村 - 虫逐明神森
境内森山周50間。小名野田にある。社なし。樹を神として祀っている。 岩崎村 - 虫逐明神森
社地周30間。下にある。楠木を神体とする。夏時田虫を逐うために祀る神という。朝来村 - 山神森
社地周136間。川端にある。1村の産土神である。境内に石灯籠があって社なし。社を建てれば祟りがあるという。総じて熊野の山中には大樹あるいは古木を神体とし、その境内は雑樹が陰鬱として周囲数町に亘るものが多い。その祭日には供物を木の葉に盛り、あるいは木の葉を供えることがある。通じて木葉祭りという。山中の風俗の一端ということができる。西谷村 - 八幡森
境内山林周116間。村の寅卯(※東北東※)の方1町余りにある。1村の産土神である。社殿なし。真砂村 - 妙見社
境内周70間。村の中にある。楠の大樹を神として祀る。塩野村 - 矢倉明神森
川原谷にあってそこの氏神である。樹を祀って社はない。玉伝村 - 矢倉明神社
社地周104間。社はない。樹を祀るのだ。小房村 - 小祠2社
地主神森 社地周20間、小名串崎という所にある。
社はない。大樹を祀る。
槻宮森 同所にある。社はない。1丈ばかりのけやき1本を祭る。矢野口村 - 山神森
社地周50間、村の中にある。山神社なし。古屋村 - 矢倉明神
社地周40間。村の中にある。木を神として祀る。古屋村 - 三階ガ滝
村の東4里ばかりにある。前川の流れがここで3段の滝となる。上の滝は高さ15間、なだれ落ちる。中の滝は11間。下の滝は1間半ばかり。ともに直下に懸かるので最も壮観である。しかしながら場所が僻遠なので、他境のものが行けないだけでなく、村人といえども、これを見る者は稀である。幽境はここに至って別に1乾坤をなして他の世界があることを忘れる。下木守村 - 自然滝
村の東10町ばかりにある。前川の流れである。高さ1間ばかり、滝壺は青淵をなし、その深さは測りがたい。 下木守村 - 日生矢倉明神森
境内森山周96間。小名上村の奥にある。1村の産土神である。社はなく木を祭る。
日生は日王とも書く。ともにその意味は詳らかでない。矢倉大明神はあるいは矢倉大臣と書く。これもまた詳らかでない。考えるに、矢は谷である。倉は大巌をいう。谷の中に石巌がある所をいうのであろう。また鎌倉の俚語に窟を矢倉というとのこと。大巌石窟の神の意味で山の神を祭っているのであろう。太間川村 - 小祠5社
狼森 社地周3町、小名上村にある。社はない。木の根を神体とする。
狼を埋めた地であると伝えいう。
権現社 社地森山周45間、同所にある。
若宮 社地森山周84間、同所にある。社はない。木を神体とする。
八幡社 社地森山周36間、勢(せい)山にある。
弁財天社 社地森山周85間、同所にある。慶長の棟札がある。 太間川村 - 矢倉明神森
境内森山周200間。村中にある。社はない。木を神体とする。拝殿はある。小河内村 - 本ノ宮森
境内森山周50間。宮の谷にある。春日社の旧趾という。社はなく石を祭る。また矢倉大明神ともいう。見老津村 - 明神森
村中にある。社はない。東雨村 - 木葉神森
村中にある。稲荷を祀るという。氏神である。社はない。二色村 - 城森
村の中にある。昔、城があったという。森の中に椋の大木20~30株がある。大きなものは周囲2丈以上。また村の東15町に城森と呼ぶ所がある。その西に城栗栖という所がある。何という人の城であるか詳らかでない。上切原村 - 産土神森 (行けました! 木葉神社跡)
境内森山周60間。村の中にある。空神を祀るという。社なし。古は本宮の地主神を産土神とした。村の中の著姓のたいていは古くは本宮の社家であるという。請川村 - 鸚鵡石
村の南20町ばかり、九十良谷という所にある。その地は2つの崖が5、60歩隔たる。尊い山が上に連なりわたって、その下に翠巌がそびえ立ち、叢樹が左右 にある。北の崖にいて呼べば南の崖がこれに応える。音響が最もはっきりしている。糸竹歌謳の類いは大小清濁ほんの少しも違えない。翠巌はまことに響石とい うことができる。静川村
(てつ)
2019.11.13 更新