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少女峰(しょうじょほう)

和歌山県東牟婁郡古座川町月野瀬 月野瀬村:紀伊続風土記(現代語訳)

少女の悲しい伝説が伝わる岩山

少女峰

 古座川の川岸に聳える岩山。
 少女峰という可愛らしい名前の山ですが、その名前はひとりの少女の悲しい伝説に由来します。

 昔、おふじという名の17才になる美しい少女が月野瀬村に住んでいた。おふじは重畳山神王寺にいる若い修業僧に思いを寄せていた。
 おふじの美貌は古座川河口沖に浮かぶ九龍島を根拠地とする海賊の頭目の藤四郎の耳にも伝わり、藤四郎はおふじを自分の妻にしようと大勢の手下を引き連れておふじの元を訪れる。藤四郎はおふじを連れ去ろうとするが、おふじは嫌がって重畳山を目指して逃げた。しかし重畳山に行き着く前に追いつめられ、おふじは岩山の上から古座川に身を投げて死んでしまった。

少女峰

 『紀伊続風土記』の月野瀬村の条には以下のようにあります(口語訳てつ)。

十七ヶ嶽
川の南岸にある。高さ200間、雲中に聳える。土地の人が伝えていうには、昔17歳の女子がこの峰から落ちたために十七ヶ嶽というとか。

 もともとは「十七ヶ嶽」といいましたが、幕末に津藩の儒学者、斉藤拙堂が少女の悲しい伝説を聞いて私的に「少女峰」と名付け、それが広まって通称となりました。

(てつ)

2012.8.11 UP
2020.5.20 更新

参考文献

少女峰へ

アクセス:対岸の駐車場まではJR古座駅から車で約12分
駐車場:無料駐車場あり