み熊野ねっと 熊野の深みへ

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内田康夫『鯨の哭く海』祥伝社文庫

熊野太地が舞台の浅見光彦シリーズ

 浅見光彦シリ-ズ。
 秩父での殺人事件が熊野太地での殺人事件に繋がっていくストーリーの展開が見事です。

 事件の背後にあるのは捕鯨問題。

 気軽に読める本ですが、捕鯨問題については考えさせられてしまいます。

 捕鯨国と反捕鯨国の対立。
 捕鯨に反対する人たちは、鯨の数が増えても食べてはならないと考えているのではないか。捕鯨は悪だと考えているのではないか。
 そうすると捕鯨問題は解決しようがない。反捕鯨は正義で捕鯨は悪なのか。

 牛を殺して食べることはよくて鯨を殺して食べることはいけないのか。
 自分が殺され食べられるとしたら、牛であるよりも鯨でありたいと思います。

 小説のストーリーの基底には、太地で明治11年12月に実際に起こった大惨事「大背美流れ(おおせみながれ)」がモチーフとしてあります。

最後の浅見光彦シリーズ

 内田康夫氏が病気のため執筆を断念し、未完のまま刊行されたのが最後の浅見光彦シリーズ『孤道(こどう)』。熊野古道を舞台とする歴史ロマンミステリーです。熊野との特別なご縁を勝手ながら感じます。

 『孤道』完結プロジェクト最優秀賞受賞作、和久井清水著『孤道 完結編 金色の眠り』。

(てつ)

2008.1.12
2021.3.7 更新

内田康夫さんの著作

 浅見光彦シリーズ、熊野古道殺人事件。

 内田康夫没後三年特別出版。『南紀殺人事件』。