和歌山県田辺市本宮町皆地に伝わる話。
皆地の小字に籠山という所がある。周囲は断崖絶壁で、容易に人が近づくことができないような所であった。
昔、籠山桑原末次兵衛という侍が一族郎党とともに敵の追っ手から逃れてこの地に隠れ棲んだ、と言われる。
籠山には、田畑の跡や馬を駆けさせた馬駆場(うまかけば)の跡があり、石の扉のあった洞窟があった(石の扉は南海大地震の際に崩壊)。
籠山兵衛は、この地に隠れる際、熊野本宮に「万一敵が攻めて来たときは必ず教えてください」と願をかけた。
ある日、カラスの大群が鳴きながら飛んで来た。これを見て、
籠山兵衛は敵が来たと思い、一族郎党とともに洞窟の中で自刃して果てたという。
(てつ)
2009.3.29 UP
2022.7.18 更新
参考文献
- 正和さん作『皆地の里の昔話』