熊野から持ち帰った小石が成長
石が盛長することは、伴信友の『方術源論』(国書刊行会全集、第五冊146頁)、享保7年に著した『佐倉風土記』に、印旛郡(いんばぐん)太田村(※現・千葉県佐倉市)にある熊野石、「150年前、村民が紀伊国の熊野社に詣でる。帰ろうとしたとき、青石が草鞋にくっつく。大きさは桃の核ほどで、棄てても棄ててもくっつく。これを怪しんで手に取って袋に入れた。日々それが長くなり、かつ重くなるのを感じる。家に帰るころになると、袋に入れることができない。ついにこれを神として祀って熊野権現となし、はなはだ慎んで奉承した。そして、またその盛長することは止まらない。はじめ屋後に祀り、後にこれを外に移す。その民はすでに4世になり、石は今3尺9分、周囲1尺4寸で、形は閉じた笠のようである。1年で盛長するのは、必ず米の大きさほどである、と。これを40年前と比べると、すでに 6~7寸盛長している」とある。
種子島の熊野神社(鹿児島県熊毛郡中種子町南界熊野)の御神体も、熊野から持ち帰った石で次第に大きくなり、また小石を生むようになった、と伝えられています。
ルーマニアには「Trovant」という成長する石があり、その石は雨が降った後に大きくなっていくそうです。
(てつ)
2010.12.28 UP
2020.8.7 更新
参考文献
- 中沢新一責任編集・解題『南方熊楠コレクション〈第2巻〉南方民俗学』 河出文庫
- まるで生きているかのように成長するルーマニアの自然石 - GIGAZINE