熊野川支流大塔川の川底から湧き出る温泉
本宮町にはいくつかの温泉がありますが、代表的な温泉は「湯の峰温泉」「川湯温泉」「渡瀬温泉」の3つです。その3つの温泉のなかで最もユニークなのが川湯温泉です。
川湯温泉はその名の通り川底から温泉が湧き出ます。江戸時代の紀伊国の地誌 『紀伊続風土記』には以下のように記されています(現代語訳てつ)。
○川湯温泉
本村よりは乾の方(※北西※)10町ばかり。小名川湯にある。請川村からは16町ばかり。筌川の上流である。湯峯村の南に当たり、互いの距離は1里ばかりである。旅舎10余戸ある。温泉は川の中の2町ばかりの間、幾所となく涌き出て水面に泡をなす。里人が水際に窪地を作り、あるいは槽を川原に嵌めて浴庵を作るをよく目にする。雨が降り水が増水したときは浴することができない。
自分で掘れば自分だけの露天風呂が
川湯温泉。川原を掘ると温泉が湧きます。源泉は70度以上。川の水を引き込んで適温にします。 pic.twitter.com/piWPKtsZSt
— てつ@み熊野ねっと (@mikumano) October 28, 2020
スコップを持参し、自分で河原を掘れば、自分だけの露天風呂を作ることができます。泉温は70℃以上。熱ければ、川の水を引き込んで冷まします。
川湯温泉の泉質、泉温、効能
泉質:単純温泉、炭酸水素塩泉
泉温:49~73℃
効能:(『紀伊続風土記』より)
浴後は温暖の気が長く続く。その人体を暖めることに関しては湯の峯の湯に勝るという。よって湯の効能を考えると、陽気を順通して寒湿を温散する効能が最もすぐれ、四肢関節の痺痛、風毒(関節、筋肉の痛みや運動障害を起こす病)、湿瘡(疥癬)及び婦人の瘀血帯疾(血流の滞りによる病?)、経水不順、腰の冷え、不育などの症状によいという。
(皆瀬川村 - 紀伊続風土記 現代語訳)
大塔川
川湯温泉のある川は、熊野川支流の大塔川。熊野の主峰、大塔山を源とする美しい川です。
川岸にはホテルや旅館やペンション、民宿、共同浴場などが立ち並びますが、それでもこの水の美しさ。
夏場は温泉だけでなく、川遊びも楽しめます。 当然のことですが、増水時には、川での入浴や遊びができなくなることがあります。温泉の少し下流にはキャンプ場「川湯野営場木霊(こだま)の里」もあります。
冬季限定の大露天風呂・仙人風呂
川の水量が少なくなる冬(11月から2月)には川をせき止めて、一度に千人が入れるほどの大きな露天風呂「仙人風呂」を作ってしまいます。
橋を渡った向こうが仙人風呂。熱い所とぬるい所がありますので、ちょうどよい湯加減の場所を探すとよいと思います。基本、水着着用ですので、水着をご用意くださいませ。
(てつ)
2003.8.10 UP
2006.2.25 更新
2011.12.5 更新
2020.10.30 更新
2024.8.27 更新
参考文献
- 紀泉楽太郎『温泉博士紀泉楽太郎の紀州の温泉ちょっとひと風呂』アガサス
- 皆瀬川村 - 紀伊続風土記 現代語訳
川湯温泉へ
アクセス:
・JR新宮駅から湯の峰・本宮方面行きバスで1時間、川湯温泉バス停下車。
・JR紀伊田辺駅から龍神バスで約1時間45分、川湯温泉バス停下車
駐車場:無料駐車場あり。仙人風呂ができる冬期(11月から2月)は河原に駐車場が造られます。
共同浴場:大人(中学生以上)250円、小人130円200円、6:30~20:00、火曜日定休
仙人風呂:11/1~2月末日、期間中無休、ただし増水時は入浴不可、無料、6:00~23:00