熊野国総鎮守、坂上田村麻呂が討ち取った賊の首の上に建てられた神社
熊野国総鎮守、大馬神社。
新宮方面から国道42号線を尾鷲市方面へ車を走らせます。獅子岩を過ぎて井戸川手前で左折。井戸川沿いに走る県道34号をさかのぼります。大馬谷口で右折。少し行って今度は左折。県道34号に入ってから約15分くらいでしょうか。鳥居が見えました。鳥居近くの駐車スペースに車をとめます。
鳥居の左手の石には「熊野国総鎮守 大馬神社」と刻まれています。寄居の右手には案内板。以下、案内板より。
創始は明らかでないが、平安時代から祀られている神社で、市内で最も古い文明10年(1478)の棟札がある。
恒武天皇(737~806)の頃、坂上田村麻呂(758~811)がこの地方を荒らす賊を討ち、賊の頭の首を地中に埋め、その上に社殿を建てたのが始まりといわれる。その後、智興和尚という人がこの話を伝え聞い参詣しようとしたところ、田村麻呂の霊が現れ案内した。霊は大きな馬に乗っていたことから大馬神社と呼ばれるようになったという。
元は大馬地区の産土神であったが、現在はふもとの八幡神社が遥拝社となっており、現在は井戸町全体の氏子組織によって祀られている。毎年順番で当屋を決め、 当屋になった組が1月6日の祭礼をとりしきる。弓引き神事:
祭礼の日には、弓引き神事が行われる。当屋の組から弓引きと矢取りが2名ずつ選ばれる。当日の朝、水垢離(みすごり)を取った後、直垂(ひたたれ)に着替え、刀を差して烏帽子をか被る。まず、的に向かって1人につき数回矢をひき、神主から御神酒を頂いた後、再び的に向かって矢を放つ。
最後に流し矢を行って終了する。
小川にかかった小さな橋を渡り、石段を登ります。正面に社務所、右手に神社への参道が続きます。杉の大木に囲まれた参道。
参道脇には先ほど橋で渡った小川が流れ、小さな社殿の背後には清滝という滝があります。立派な滝なのですが、写真は上手に撮れませんでした。残念。
境内に滝があり、小川が流れ、また杉の大樹が群生しているため、空気がひんやりとしています。まさに神域という感じがします。
この社殿の下に坂上田村麻呂が討ち取った賊の首が埋められているのですね。賊の名は多娥丸(たがまる)。鬼ケ城に隠れ住み、熊野の海を荒らしまわり、鬼と恐れられた海賊です。
大馬神社には狛犬がなく、井戸川下流の海岸にある獅子岩が阿の狛犬、獅子岩の南に位置する神仙洞の人面岩が吽の狛犬に見立てられています。
(てつ)
2007.3.23 UP
2019.12.16 更新
参考文献
大馬神社へ
アクセス:JR熊野市駅から車で約15分
駐車場:駐車スペースあり