中辺路最後の王子
大門坂の夫婦杉を過ぎて少し行ったところにある多富気王子(たふけおうじ)。
市野々王子と熊野那智大社の間にある王子。中辺路最後の王子です。傍らには庚申塔があります。
「多富気」という名はついては、「手向け」から転じたとする説や、那智山社僧の潮崎多富気がこの王子を設けたからとの説があります。
案内板には下記のように書いてありました。
多富気王子跡
熊野参詣記道中辺路にある最後の王子社です。おそらく 峠の神仏に「手向け(たむけ)」をした場所で、それがいつしか王子と呼ばれるようになったと思われます。ただし王子の名は中世の記録には登場せず、江戸時代の地誌類にみられます。『熊野道中記』には「那智山坂ノ内壱町程上リ、右ノ方」と記されています。また『紀南導郷記』では若一(にゃくいち)王子、『紀伊続風土記』では児宮(ちごのみや)と呼んでいますが、『熊野巡覧記』には、若一王子と児宮の両方の名をあげています。江戸時代には社殿がありましたが、明治十年に熊野夫須美(ふすみ)神社(現・熊野那智大社)の境内に移され、跡地だけとなりました。
ここまで来たら熊野那智大社まであと少し。あと30分ほどです。
(てつ)
2008.11.26 UP
2020.10.23 更新
参考文献
- 加藤隆久 編『熊野三山信仰事典』戎光祥出版
- 西口勇『くまの九十九王子をゆく 第二部 中辺路・大辺路・小辺路編―田辺・高野から那智・新宮へ―』 燃焼社
- 『紀伊続風土記 (第1-5輯) 』臨川書店
多富気王子へ
アクセス:JR紀伊勝浦駅から熊野交通バス神社お寺前駐車場行きで19分、大門坂駐車場前バス停下車、徒歩約10分 那智勝浦へのアクセス
駐車場:大門坂入口近くに無料駐車場あり(大門坂駐車場)