海に突き立てられた巨大な楯のような大岩壁
三重県の名勝天然記念物に指定されている「楯ヶ崎」。
海に突き立てられた巨大な楯のような大岩壁。高さ約80m、周囲約550m。
無数の柱が連なったように見える「柱状節理」の岩壁は熊野の海岸の至る所に見られますが、この楯ヶ崎は独立してそびえ立って存在するので圧巻。
国道311号沿いに駐車場があり、そこから約2km、45分ほど遊歩道を歩き、「千畳敷」と呼ばれる岩盤の上に出ると、楯ヶ崎が見えます。
楯ヶ崎は、松崎港から出航する楯ヶ崎観光遊覧船に乗って見ることもできます(要予約。問い合せ先・熊野市観光協会)。
楯ヶ崎は神武東征の際の上陸地ともされ、また熊野灘で遭難して亡くなった神武天皇の兄の三毛入野命(みけいりのみこと)が祀られているとの由来もある阿古師(あこし)神社が遊歩道の途中にあります。
平安時代の歌人増基法師の紀行文『いほぬし』には、「神のたたかひたる処とて、楯をつらねたるやうな巌どもあり」と書かれ、「うつなみに満ちくる汐のたたかふを楯ヶ崎とはいふにぞありける」と歌も詠まれています。
海岸性の照葉樹林のなかを行く遊歩道。タブノキ、イヌマキ、カゴノキ、バクチノキ、ヤブツバキ、ホルトノキ、シダジイやクスノキ、ウバメガ、バリバリノキ、シマサルナシやリュウキュウマメガキなど。
阿古師神社。祭神は豊玉姫命・伊勢大神・三毛入野命の諸説があります。
阿古師神社前の海。この海水の透明度はすばらしいです。
千畳敷からの眺め。この海の美しさ。人間が汚す前はきっとどこの海もこんなに美しかったのでしょうね。
(てつ)
2005.12.15 UP
2019.12.6 更新
参考文献
- 増淵勝一『いほぬし精講』国研出版
楯ヶ崎へ
アクセス:JR二木島駅から楯ヶ崎遊歩道入口までタクシーで15分、遊歩道を徒歩約45分
駐車場:無料駐車場あり