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丹鶴姫

新宮のもののけ姫、丹鶴姫

丹鶴姫之碑

 新宮に伝わるもののけ姫、丹鶴姫(たんかくひめ)の伝説。新宮市の熊野川河口付近にある丹鶴城趾には、日暮れになるともののけの姫が出るという伝説があります。

 新宮出身の作家、佐藤春夫の著作「わが生い立ち」より引用。

 丹鶴城主の姫君の丹鶴姫は子供が好きださうで、 夕方、 子供がひとりでそのあたりを通つてゐると、 緋の袴の姿で丘の上へ現れて来て扇で子供をまねく。 招かれた子供は次の日の朝になると死んでゐるといふのである。 その丹鶴姫の使いが黒い兎で、 子供の通る道の前をひよいと横切ることがある。 やつぱりそれを見た子供は死ななけりやならないともいふ。 黒い兎なら暗がりのなかでは見えないかも知れない。自分の見ないつもりのうちに、 もしや黒い兎をみたのぢやないだらうか 私はそんな空想に怯えたこともあつた。 丹鶴姫といふのはどんな人だか知らないが、 城山の向ふの丘には一つの小さな社があつて、 そこを皆が丹鶴姫の祠だと言つてゐる。……

(佐藤春夫「わが生い立ち」)

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(てつ)

2006.8.21 UP
2022.7.17 更新

参考文献