女性の信仰を集める磐座
三重県熊野市有馬町池川の集落近くにある「まないたさま」。
岩の前に木の鳥居。社殿はありません。
社殿のない古式のあり方を今も保っている神社です。
岩の隙間の地面には白い浜石が敷き詰められています。
周囲はまだ若い人工林。
「まないたさま」の傍らに谷川があり、小さな滝がかかっています。この小さな谷川が産田川の源流のひとつ。谷筋には大きな岩がごろごろしています。
鳥居横にある説明板より
まないたさま
天の真名井戸
マナイタさんとよばれ婦人病に霊験ありとて地方婦女子の信仰を集めているがマナイタ(真魚板)とこの信仰のつながりは理解できがたい。マナイタとは恐らくマナイト(真名井戸)の転訛で古くそこに水神が祭られていた為にこの信仰が生まれたものであろう。
民俗学の面から考察すれば水神は五穀の豊穣をもたらす神で人間界では多産を約束する神でもある。従って水神に対して子供を求め安産を願い婦人病の平癒を祈願するのは全国通じての習俗であるが水神と呼ばずマナイタの古語が残っている所に時代の古さが偲ばれる。
例えば古事記、日本書紀の天の真名井、紀北丹生津姫神社の真名井、熊野本宮山の真名井等いずれもその例で祭祀に先立ってまず水コリをとり行を修する神聖な場所であった。今この付近の字を「垢離掻場」と称しているのはその証拠で恐らくは産田神社に関する古い遺跡であろう。
まないたさまへの行き方
池川の集落までは林道 池川・馬の戸線で行きますが、去年(2012年)の台風被害のため有馬町の方からは通行不能で、井戸町馬の戸の方から上がっていきました。道幅の狭い道路ですので、車の運転の苦手な方はお気を付けて。15分ほど車を走らせると、池川の集落に辿り着きます。
集落の方に「まないたさま」の場所をお尋ねすると、親切に道を教えてくださいました。
井戸町方面からだと進行方向左手に未舗装路があり、その道を行きます。上の写真左の手の木の根元に「まないたさま」と書いた案内板があります。
未舗装路を下っていきます。
少し行くと廃屋があり、その奥に薬師堂があります。
この辺が広いので車はここに駐車するのがよいと思います。
私の車は軽自動車で、集落の方に軽ならいちばん奥まで行ったらいいよと言われたので、いちばん奥まで車で行きました。
終点に1軒の家があります。そこの方がちょうど外におられて、ご挨拶してから車を駐車させていただきました。終点はそれほど広いスペースはないので、他に先客があった場合、車の方向転換ができなさそうです。薬師堂の辺に駐車した方が無難だと思います。歩いても5分ほどで道路終点まで行けると思います。
山を降りていく歩道があります。
石段があります。
途中にある大きな岩。
歩道入り口から徒歩5分ほどで「まないたさま」に辿り着きます。
(てつ)
2012.7.20 UP
2020.2.7 更新
参考文献
まないたさまへ
アクセス:JR熊野市駅から車で15分、徒歩10分
駐車場:薬師堂近くに駐車スペースあり