人類の火の獲得を思い起こさせる火の祭り
毎年2月6日夜に行われる神倉神社の例祭、お燈まつり(おとうまつり)は、勇壮な火祭として知られ、和歌山県の無形民俗文化財に指定されています。
約2000人の「上り子(あがりこ)」と呼ばれる白装束の男たちがあの急勾配の石段を火のついた松明を持って駈け降ります。その様は地元の歌「新宮節」に「お燈まつりは男のまつり 山は火の滝 下り竜」と歌われます。
山上で火をおこしてタイマツにともして下界に帰ってくるという、とてもシンプルな火祭りです。そのシンプルさは人類の祖先の火の獲得・火の発明を思わせます。
歴史的なことはわかりませんが、形態的にはお灯祭りは日本の火祭りの原点的な祭りであると言えるような気がします。
遥か昔の人類が火を獲得したときのことを記憶し、今に伝えている火の祭り。
火の獲得から人類の文明が始まりました。ならば祭りの原点は火祭りなのかもしれません。その火祭りの原点的なものが神倉神社のお燈まつりです。
神倉神社のお燈まつりが日本の祭りの原点なのだということができるのかもしれません。
上の4枚の画像は近くに設置された巨大スクリーンでライブ中継されていた映像を撮影したものです。
まさしく男の祭りです。この日だけは神倉山は女人禁制になり、女たちは太鼓橋の手前で男たちが降りてくるのを待ち受けます。男たちが駆け降りてくるのは午後8:00ころ。
神倉神社お燈祭り(2002・2003・2004・2005その1・2005その2・2007)
(てつ)
2020.2.5 UP
(元記事は2007.2.9にUP)
参考文献
- 加藤隆久 編『熊野三山信仰事典』神仏信仰事典シリーズ(5) 戎光祥出版
神倉神社へ
アクセス:JR新宮駅から徒歩15分
駐車場:出雲大社新宮教会横に神倉神社観光客用駐車場あり(利用時間 7:00~19:00、駐車可能台数 6台)