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湯峯王子(湯之峯王子)(ゆのみねおうじ)

 和歌山県田辺市本宮町湯峰 湯峯村:紀伊続風土記(現代語訳)

熊野本宮の聖域の入口

湯の峰王子

 熊野古道大日越え(だいにちごえ)」の湯の峰温泉近くにある湯之峯王子(ゆのみねおうじ)。

 もともとは湯の峰温泉の中心地、「湯の峰」の地名の元となった湯胸薬師(ゆのむねやくし)を祀る薬師堂(今の東光寺)に隣接してありましたが、明治36年(1903年)の火災で薬師堂とともに社殿が焼失し、現在の高台に遷座されました。

湯の峰温泉
湯の峰温泉

東光寺
東光寺

 院政期の記録に湯之峯王子の名はなく、鎌倉時代末期の正中3年(1326年)の仁和寺蔵の『熊野縁起』に「湯峯童子本地虚空蔵菩薩 赤色□□□□ 婆羅門僧正顕給」と登場します(この場合の童子は王子)。

 院政期には本宮参拝前に湯の峰に入湯することははなかったのですが、鎌倉時代末期には本宮参拝前に湯の峰に入湯することが行なわれるようになり、湯の峰が本宮の湯垢離場(ゆごりば)と認識され、湯の峰に王子が誕生することとなったのでしょう。

 室町時代、足利義満の側室である北野殿が応永34年(1427年)に熊野参詣をしたときの様子を先達(道案内人)が記した日記『熊野詣日記』には、「御師(おし:熊野三山の社僧)の宿房にお着きになり、お祝いののち、湯の峰にお登りになり、日が暮れてのち御師の宿房にお帰りになり、夜になってからご奉幣された」というようなことが記されています。

 江戸時代には三越峠から献上を経て赤木越えで湯の峰を通り(従来の参詣ルートを「本街道」といい、こちらのルートを「裏街道」といいました)、湯の峰に入湯してから大日越えで本宮に参詣する人々が増え、湯の峰を経てから本宮へ参詣することが一般化しました。

(てつ)

2008.11.3 UP
2020.10.25 更新

参考文献

湯峯王子へ

アクセス
 JR新宮駅から熊野交通バス奈良交通バス明光バス熊野古道スーパーエクスプレスで本宮方面行きバスで約1時間10分、湯の峰温泉バス停下車 、徒歩5分。
 JR紀伊田辺駅から本宮・発心門王子方面行き龍神バスで1時間38分、湯の峰温泉バス停下車 、徒歩5分。

 熊野本宮大社から湯の峰温泉への熊野古道「大日越え」を歩く

駐車場:湯の峰温泉に無料駐車場あり

湯峯王子を通る熊野古道レポート
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