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◆ 宇河弘樹『朝霧の巫女』(5) YKコミックス(少年画報社)


レビュアー:そま

壮絶です。アニメ版みたいな、巫女萌えラブコメディではないです。

この漫画とつながっている単行本「妖の寄る家」と、南北朝、日本神話(特にイザナミ神スサノオ命)、サンカについて少し知っておいた方が、読みやすいのではないでしょうか。
以下、ネタばれをいろいろ含んでいます。↓

今回は何といっても、こまさんの思いが悲しすぎます・・・!。・゜・(/Д`)・゜・。
今までの忠尋を見るこまさんのせつないまなざしや押さえていたものが何だったのか、謎がとけました。
周囲の「人間」の生死を見送り、自分の愛した人との証への凄絶な妄執を持つに至った「物怪」・・・。
こまさんの忠明への執心と、スサノオノミコトの母神への思いが交錯するような、怒涛の展開です。

寺山修司の戯曲やエヴァを連想してしまう第十八話がまた、どっぷりと闇の世界。
幕間で幽世や忠尋について語り始めるのは、「妖の寄る家」にも出てきた天津彦根神でしょうね。

最後のページにあの神の依代が登場するのなら(壷装束は某地詣コス(笑)!?まさかこの格好をされるとは)、何で手前のページに出てきた牛王印那智なんだろう?
と思ったのですが、これは、夫須美神=イザナミノミコトと考えれば納得できました。

作者の宇河氏のブログによると、「朝霧の巫女」は全9巻を予定されているのだとか。
その概要を読むと、相当濃い内容になるようですね。

全部描ききったら宇河氏は黄泉の国へ連れて行ってしまわれないかとちょっと心配ですが(^^;)、何年かけても描ききってほしいです。

宇河弘樹『朝霧の巫女』(7):熊野の本
宇河弘樹『朝霧の巫女』(6):熊野の本
宇河弘樹『朝霧の巫女』(4):熊野の本

(そま)

2008.1.22 UP

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