『日本書紀』に記述のある古くから伝わる神事
『日本書紀』には「一書に曰く」として次のようなことが書かれています。
イザナミは、火の神カグツチノカミを生むときに、陰部に大火傷を負って死んでしまう。その遺体は紀伊国の熊野の有馬村に葬られる。村人は、この神の魂を祭るのに、花のときは花をもって祭り、鼓・笛・幡旗をもって歌ったり舞ったりして祭る。
多くの神々を生んだイザナミは、最後に火の神カグツチを生み落とし、陰部を焼かれて死んでしまいますが、そのイザナミを葬った場所がこの花の窟だとされています。
花の窟神社では、毎年2月2日と10月2日に、『日本書紀』にあるような、花を飾り、舞を捧げる「お綱掛け神事」という神事が行われます(このページの写真は2010年2月2日に撮影)。
神事は午前10:00ころから始まります。
10:30ころ、岩壁の上から、重りをつけた細い綱がするすると下りてきます。
すでにかかっているお綱は去年の秋のお綱かけ神事でかけたもの。たいがいは落ちてしまうようですが、今回は残っていました。2本のお綱がかかるとその年は豊作になるとか。
細い綱に太い綱をつけて引き上げていき、太い綱を岩壁の上の木にくくりつけます。
百数十mもの綱を、国道を越え七里御浜まで引っ張っていきます。
綱をコンクリートの支柱にかけます。
綱を境内に戻し、松の木にかけます。綱の端をぐるぐる巻いてとめます。
秋のお綱が残っていて、今回かけたお綱と合わせて2本お綱がかかっています。
今年はよい年になりそうです。
小学生の女の子の舞の奉納。凛々しくていいです。
お綱掛け神事で舞を捧げたことのある女性の方からいただいたメールをご紹介します。
花の窟のお綱掛け神事では、4人の舞姫がイザナミやカグツチに舞いを捧げますが、私も10歳のときに学校を早退して踊りに行きました。
10月の神事に向けて夏休みから、朝の9時から正午まで練習しました。
舞う為の条件は小学4年生と決められていて、舞姫は全員で6人いました。
髪が長くないといけないので、短かった私は一生懸命伸ばしました(ただ待つだけ)。
当日では髪をできるだけ高いところで結い、付け毛をして舞いました。
踊りは花の窟と産田神社の二回舞います。
とのことです。
神事が終わるのは12:00ころ。
お綱かけ神事|2002.10.2|2007.2.2|2010.2.2|2011.2.2|2014.10.2|
(てつ)
2010.2.8 UP
2020.2.2 更新
参考文献
- 宇治谷孟『日本書紀(上)全現代語訳』講談社学術文庫
- 別冊太陽『熊野 異界への旅』平凡社
花窟神社へ
アクセス:JR熊野市駅から徒歩15分
駐車場:無料駐車場あり