『日本書紀』に記述のある古くから伝わる神事
奈良時代720年に成立した『日本書紀』にすでにこの花の窟の神事についての記述があります。
『日本書紀』には「一書に曰く」として次のようなことが書かれています。
イザナミは、火の神カグツチノカミを生むときに、陰部に大火傷を負って死んでしまう。その遺体は紀伊国の熊野の有馬村に葬られる。村人は、この神の魂を祭るのに、花のときは花をもって祭り、鼓・笛・幡旗をもって歌ったり舞ったりして祭る。
多くの神々を生んだイザナミは、最後に火の神カグツチを生み落とし、陰部を焼かれて死んでしまいますが、そのイザナミを葬った場所がこの花の窟だとされています。
花の窟神社では、毎年2月2日と10月2日に、『日本書紀』にあるような、花を飾り、舞を捧げる「お綱掛け神事」という神事が行われます(このページの写真は2011年2月2日に撮影)。
季節の花、扇を結んだ幟をとりつけた百数十mもの長い綱が、氏子たちの手により大岩の上から国道を越え七里御浜まで引かれ張りわたされます。そして舞などが捧げられます。
午前10:00ころに境内で祭典が始まります。綱を引っ張るのは10:30ころ。11:00ころに綱を張り終えます。その後、境内で祭典が続けられ、神事が終わるのは12:00ころ。
今年も秋のお綱が残っていて、今回かけたお綱と合わせて2本お綱がかかっています。
お綱かけ神事|2002.10.2|2007.2.2|2010.2.2|2011.2.2|2014.10.2|
(てつ)
2011.2.3 UP
2020.2.2 更新
参考文献
- 宇治谷孟『日本書紀(上)全現代語訳』講談社学術文庫
- 別冊太陽『熊野 異界への旅』平凡社
花窟神社へ
アクセス:JR熊野市駅から徒歩15分
駐車場:無料駐車場あり