平重盛の手植えと伝わる日本最大のナギ
国の天然記念物に指定されている、熊野速玉大社の境内に立つ推定樹齢1000年の梛(なぎ)の大樹。
平安末期に熊野三山造営奉行を務めた平重盛(清盛の嫡男)の手植えと伝えられ、梛としては日本最大です。
梛の葉
ナギは熊野権現の御神木で、その葉は、笠などにかざすことで魔除けとなり、帰りの道中を守護してくれるものと信じられていました。
ナギはマキ科に属する針葉樹でありながら、広葉樹のような幅の広い葉をもつちょっと変わった樹木です。
その葉は、縦に細い平行脈が多数あって、主脈がありません。その一風変わった構造のため、ナギの葉は、横には簡単に裂くことができますが、縦には枯れ葉であってもなかなかちぎることができません。
葉の丈夫さからナギにはコゾウナカセ、チカラシバなどの別名があり、その丈夫さにあやかって男女の縁が切れないようにと女性が葉を鏡の裏に入れる習俗があったそうです。
また、ナギは、他の植物の生育を抑制する働きをもつナギラクトンという化学物質を分泌するそうです。
葉の丈夫さの他、他の植物の生育を抑制する力をもつこともナギの葉が魔除けのお守りにされるようになった理由のひとつかもしれません。
梛の葉を大切に持ち歩けるようにしました
梛(ナギ)の押し葉、熊野紙包み(2枚セット):み熊野ねっとヤフー店
熊野の神様が宿るとされて身につけるとお守りになるとされた梛の葉を、本宮町で生産される和紙「音無紙(熊野紙)」で包みました。
梛(ナギ)の押し葉 熊野紙包み 本地仏種字熊野三山セット:み熊野ねっとヤフー店
梛の葉を、熊野三山の本地仏の種字(仏を1文字の梵字で表したもの)と真言(マントラ )を印刷した和紙「音無紙(熊野紙)」で包みました。3枚1セット。
新宮の薬師如来が過去世の罪悪の除去し、那智の千手観音が現世の利益を授け、本宮の阿弥陀如来が来世を加護するとされ、熊野三山をめぐれば過去世・現世・来世の三世にわたって安寧を得ることができるとされました。
(てつ)
2004.11.3 UP
2020.5.25 更新
参考文献
- 加藤隆久 編『熊野三山信仰事典』 神仏信仰事典シリーズ(5) 戎光祥出版
熊野速玉大社へ
アクセス:JR新宮駅から徒歩15分
駐車場:無料駐車場あり(30台ほど)
観光プラン:お燈祭りをたどる旅