熊野本宮旧社地対岸にある磐座群
熊野本宮大社の旧社地「大斎原」の熊野川対岸、七越の峰から張り出した尾根には大峰奥駈道が通ります。その尾根の先端部を備崎といい、平安時代から鎌倉時代にかけて経塚が営まれました。
盗掘による撹乱で旧状を残している部分はほとんどありませんが、調査が進めば日本最大級の経塚遺跡となることは確実視されています(備崎経塚群)。
その備崎の北裾には大斎原と向き合う磐座群があります。
磐座の上部に穴があります。
山道より谷側に祭壇と立石が据え付けられ、その下から礼拝する形になっているようです。上の画像右下の石が祭壇。その右上が立石。
三角の彫り込みが刻まれた岩があります。
もうひとつ三角の彫り込みが刻まれた岩があります。
それらの彫り込みのある岩の上方には、それぞれ、神様が宿るにふさわしいと思われる岩穴があります。
磐座の上部にある岩穴の中からの眺め。やはりここは特別な場所なのだと感じさせられます。
もうひとつの岩穴の中からの眺め。
磐座群の西の端の岩の元には石積があって、その背後にも三角の彫り込みが見えます。
しかし、これは上記の2つの三角の彫り込みとは違うので、人為的なものではなく自然のものでしょうか。
磐座群を乗り越えた上には、上面が平らな岩が2つあります。護摩焚きが行われたようです。
熊野の縁起譚「熊野の本地」では、熊野神を発見した場所を「曾那恵(そなえ)」としているので、この磐座群が熊野権現垂迹の地と見なされていたのかもしれません。
私は上部の方まで登りましたが、山に慣れていない方には危険ですので、 山道付近から礼拝するのみに留めてください。
(てつ)
2010.8.8 UP
2013.4.9 更新
2013.4.16 更新
2020.8.11 更新
参考文献
- 本宮町史編さん委員会『本宮町史 文化財編・古代中世史料編』本宮町
- 備崎経塚群発掘調査委員会・和歌山県本宮町教育委員会『熊野本宮備崎ー経塚群発掘調査報告書ー』
- 備宿 - Wikipedia
備崎磐座群へ
アクセス:熊野本宮大社から新宮方面へ国道168号線を進み、最初の熊野川を渡る橋「備崎橋(そなえざきばし)」を渡って対岸へ。そして山へ。
駐車場:なし