■ 創作童話

 み熊野トップ>創作

★ 我が輩は鵯(ヒヨドリ)である。(その18)   (正和 作)


 我が輩は鵯である。


我が輩は鵯である。(その18)       (正和)

 

   旅立ち。

月日の過ぎ行くのは早いもので、去年の春、皆地の里で夏を越そうと決心した時には不安で堪らなかったが、御主人様や皆さんのお陰で無事に夏を乗り切る事が出来た。楽しく暮らして居る間にまた春が巡って来て今年も北の国に旅立つ日が近付いてきました。

友人達も「今年は一緒に北の国に行って来ようよ。毎年こちらで夏を越しているとみんなから仲良くして貰えない様になるよ」と言われるし、第一いつも一緒にいるピー子さんとも他人のままだ。今年は北の国に行き、結婚して、また改めて皆地ふれあいの里に帰ってこようと決めました。

ピー子さんにこの事を話すと、顔を赤らめながらOKしてくれました。友人達もみんな心から祝福してくれてこの地で初めて夏を2人(2羽)で暮らした勇気を改めて讃えてくれました。

ご恩になった御主人様と奥様に、ピーピーと心からお礼を申し上げて、冬になれば必ず再開することを約束し、お別れする事にしました。御主人様夫妻は「今度会う時にはきっと子供を連れておいでよ」といつもの笑顔で見送って下さいました。

   我が輩達の故郷 皆地よ  愛する皆地の里よ 暫くの間お別れです

あの顔、この顔、若い方、お年寄りの方も子供さんも、みんな、みんな、みんなお元気で。他所の悪習に染まる事なく、お互いに仲良く暮らして下さい。 そして皆地の山や川よ。いつまでも綺麗で変わる事の無い様に……有り難う。また必ず戻って来ます。

   我が輩とピー子さんは、何度も頭を下げながら、
      友人?達と一緒に、北の国へと旅立ちました。

(完)

   2001年 初夏        正和

back


 このお話は、私が最近知り合った本宮町に在住の正和さんという方の創作童話です。
 正和さんの許可を得て、こちらに転載させていただくこととなりました。
 今回のお話は、正和さんがお住まいの皆地(みなち)を舞台にした物語です。

 皆地には皆地生き物ふれあいの里があります。
 皆地いきものふれあいの里では、約20ヘクタールの敷地のなかに「ふけ田」と呼ばれる湿田や森林があり、約600種類もの動植物を観察することができるそうです。観察室、標本展示室を備えた「皆地いきものふれあいセンター」も併設。駐車場あり、入場無料。

和歌山県田辺市本宮町皆地の観光名所

(てつ)

2009.7.10 UP

 

Loading...
Loading...

楽天おすすめ

 


み熊野トップ>創作