■ 創作童話

 み熊野トップ>創作

★ 我が輩は鵯(ヒヨドリ)である。(その9)   (正和 作)


 我が輩は鵯である。


我が輩は鵯である。(その9)       (正和)

 

   虫送り

「土呂(ドロ)」のすぐ上手に谷があり、小さな滝がある。「さぜもり滝」と呼んでいる。

昔、夏土用の丑の日には、竹の笹に短冊に吊し、竹で作った笛(ホラ貝なども使った)を吹きながら、当時のお年寄り○○さんという人を呼んで「岩の爺(ユワノヂ)」の叩く太鼓に合わせて「瀬虫(セムシ)・羽虫(ハムシ)・虫送り(ムシオクリ)」「さぜもり様の おんともらい 後も前も栄えたホーイホイ」。

訳すると『実盛様の御弔い(サネモリサマノオントムライ)』、つまり斉藤実盛の弔いと稲に付く害虫の駆除を併せて一緒にやっている様なものだ。「さぜもり滝」もこの地の方言で正しくは『実盛滝』となる。ここにお神酒をお供えしてから、先に書いた言葉を大きな声で言いながら、いや、言うというより叫びながら村中の田や畑の上で持っている竹の笹で稲などの葉をなでて虫をそれに移して、最後に隣の集落、小々森(コゴモリ)との境の四村川に竹の笹を流したのである。若人や子供達は、短冊の付いた、その竹の上に乗って一緒に泳いだのだと言う。

back next


 このお話は、私が最近知り合った本宮町に在住の正和さんという方の創作童話です。
 正和さんの許可を得て、こちらに転載させていただくこととなりました。
 今回のお話は、正和さんがお住まいの皆地(みなち)を舞台にした物語です。

 皆地には皆地生き物ふれあいの里があります。
 皆地いきものふれあいの里では、約20ヘクタールの敷地のなかに「ふけ田」と呼ばれる湿田や森林があり、約600種類もの動植物を観察することができるそうです。観察室、標本展示室を備えた「皆地いきものふれあいセンター」も併設。駐車場あり、入場無料。

和歌山県田辺市本宮町皆地の観光名所

(てつ)

2009.6.24 UP

 

Loading...
Loading...

楽天おすすめ

 


み熊野トップ>創作