◆ 熊野古道「伊勢路：荷坂峠（にさかとうげ）コース」
伊勢方面からの熊野の国への玄関口は長らくツヅラト峠でしたが、江戸時代初期の紀州藩の街道整備により、東寄りの荷坂峠（にさかとうげ）に変更され、この荷坂峠越えが公式ルートになりました。
伊勢から熊野に向かう参詣者はこのツヅラト峠か荷坂峠で初めて熊野の海を目にしました。熊野灘の眺めは素晴らしく、幕末の俳人、可涼園桃乙（かりょうえんとういつ）も、ここで句を詠んでいます。
海見えて心落ち着く茂りかな
海のおと聞きそめてより旅の秋
越後の商人、鈴木牧之（すずきぼくし、1770年〜1842年。雪を主題とした随筆『北越雪譜』で知られる文人でもある）が残した吟行記「西遊記神都詣西国巡礼」には、
ニサカ峠に見渡せば、海上の絶景筆に尽しがたく、世の人の只熊野路は恐ろしき噂のみ聞へけるにさはなくて、長嶋の町まで一目に見おろす風情いわむかたなし
長嶋や世を遁るなら此のあたり
嶋山や霞もこめず千々の景
と記されています。
峠には昭和10年頃まで茶屋が建っていたそうです。
なお右のコースタイムの所要時間には休憩時間・見学時間・参拝時間などは含んでおりませんので、その点はご注意ください。
熊野古道「伊勢路：荷坂峠コース（梅ヶ谷駅 → 紀伊長島駅）」
● 梅ヶ谷駅 → 荷坂峠 → 紀伊長島駅（約２時間30分コース）
梅ヶ谷駅 → 荷坂峠 → 登り口 → 国道下 → 道の駅紀伊長島マンボウ → 紀伊長島駅
※アクセス
名古屋駅からJR紀勢本線、特急にて多気駅へ。多気駅で普通新宮行きに乗り換えて梅ヶ谷駅下車。
｜東紀州の宿泊施設｜
◆ 参考文献
観光案内所などに置かれている熊野古道のガイドマップ
宇江敏勝監修『熊野古道を歩く (歩く旅シリーズ)』山と渓谷社
| 熊野古道：伊勢路 荷坂峠コース コースタイム |
| (約8km；約2時間30分) |
・梅ヶ谷駅 東紀州での宿泊については、 |
| ■「伊勢路」レポートのあるサイト ● Shimotsuma's Homepage ◎「熊野古道・伊勢路、大辺路」見聞記録 |
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（てつ）
2008.12.16 UP