熊野本宮大社近辺の熊野古道「中辺路」
しばらくぶりに熊野古道を歩きました。
「中辺路(発心門王子 → 熊野本宮大社旧社地)」は全体的にはなだらかな下りとなっているコースで、約8kmで、約2時間30分ほどのコース。普通の体力がある人であれば、まず問題なく歩くことができると思います。
発心門王子 → 熊野本宮大社旧社地(約8km;約2時間30分コース)
・発心門王子バス停・発心門王子
↓(1.8km;30分)
・水呑王子
↓(1.9km;40分)
・伏拝王子
↓(3.0km;1時間)
・祓戸王子
↓(0.1km;3分)
・熊野本宮大社
↓(5分)
・本宮大社前バス停
↓(5分)
・熊野本宮大社旧社地
熊野本宮大社旧社地にお参りするのを忘れないでくださいね。ここがもともと本宮のあった場所です。
なおこの所要時間には休憩時間・見学時間・参拝時間などは含んでおりませんので、その点はご注意ください。
※アクセス
発心門王子(ほっしんもんおうじ)バス停までは本宮大社前バス停から発心門王子行きの龍神バス(1日7便)をご利用ください。
お車でお越しの方は本宮大社近くの駐車場に車を置き、バスで発心門王子までお越しください。
てつの熊野古道歩きレポート
2008年11月4日(火)晴れ
本宮大社前を8時19分に出発する発心門王子行きの龍神バスに乗車。午前8時37分に、発心門王子バス停に到着。乗車時間はおよそ18分。運賃は450円(1日1便の住民バスは乗車時間はおよそ25分、運賃は200円)。
発心門王子にお参り。
熊野九十九王子のうち、格別の崇敬を受けた王子の五体王子のひとつです。発心とは発菩提心(はつぼだいしん)、「仏道に入り、仏智を証する志をおこす」という意味の言葉です。
中世には、この近くに「発心門」と呼ばれた大鳥居がありました。
この大鳥居「発心門」が本宮の聖域の入り口であり、参詣者はこの大鳥居の前で祓いをして、その後、鳥居をくぐり、発心門王子に参りました。
建仁元年(1201年)の藤原定家(1162 ~1241)の『後鳥羽院熊野御幸記』には、
この王子の宝前は殊に信心を発こす。紅葉が風に翻る。宝殿の上には4~5尺の木が隙間無く枝を広げている。多くは紅葉である。社の後に、尼の南無房の堂がある。この堂の内にまた一首書き付けた。後で、ここの尼が制止して物を書かせない云々と聞いた。知らないで書いてしまった。
というようなことが書かれてあります。発心門王子の裏手が南無房宅跡とされ、発心門王子社跡とともに国の史跡に指定されています。
8時50分、発心門王子を出発。バスで来た道を少し戻り、それから右手の細い道に入ります。
少し行くと休憩所とトイレがあります(次にトイレがあるのは約1時間後にたどりつく伏拝王子です)。62番の道標。8時55分。
道標は滝尻から500mごとに置かれた道標で、滝尻王子が1番。本宮大社の裏の鳥居のすぐ近くの祓戸王子に最後の75番があります。
発心門(地元の人は「ほっしんもん」ではなく「ほっしんぼ」という)の集落を通り、再びバスで通って来た道に出ます。9時5分。発心門バス停があります。
少し行って右手の道へ。
64番の道標。9時11分。
分校跡。65番の道標。9時19分。
もと校舎の横に水呑王子があります。1723年(享保8年)に紀州藩主徳川宗直が緑泥片岩の碑が残されています。この碑の背後の山から道路付近一帯が水呑王子の旧社地であったといわれています。
今までずっと舗装された道を歩いてきましたが、土の道に入ります。桧や杉の人工林。林齢は30年生くらいでしょうか。
66番の道標。9時29分。
67番の道標。9時38分。林を抜けて伏拝(ふしおがみ)の集落に出ます。
再び舗装された道。伏拝の集落を歩きます。
68番の道標。こんな山の上に井戸があるのが不思議(菊水という地区なので菊水井戸という)。9時48分。
9時56分。和歌山県と奈良県の県境となっている果無山脈。下の写真中央が百前森山。山頂が平坦な広い場所になっていて、昔侍達が酒盛をしたとき、100人の膳が並んだことからこの呼び名がおこったと言われています。 旧三里村にある富士山に似た山ということで「三里富士」と称されます。
ちょっとの間、土の道を歩いて、伏拝王子到着。10時2分。休憩所とトイレがあります。発心門王子を出発して伏拝王子までおよそ1時間10分で歩きました。
ここから先は中辺路(伏拝~本宮)をお読みください。伏拝王子から熊野本宮大社までは1時間10分ほどです。伏拝王子には休憩所とトイレがあります。伏拝王子を過ぎたらトイレは熊野本宮大社までありません。
道しるべがあるので、道に迷うことはないと思いますが、地図を携帯されることをお忘れなく。
(てつ)
2008.11.5 UP
2019.11.3 更新
参考文献
- 観光案内所などに置かれている熊野古道のガイドマップ
- 宇江敏勝監修『熊野古道を歩く (歩く旅シリーズ)』山と渓谷社
- 『熊野古道公式完全ガイド―紀州和歌山県版』扶桑社ムック
本宮大社前バス停へ
アクセス:
・JR新宮駅からバスで約1時間15分、本宮大社前バス停下車
・JR紀伊田辺駅からバスで約2時間、本宮大社前バス停下車
駐車場:無料駐車場あり
※本宮大社前から発心門王子までは発心門王子行きの龍神バス(1日7便)で約20分、終点下車